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2006年10月30日 (月)

vol.3 "ONE MORE KISS"2

尚クンに初めて逢ったのは、小学校6年生の冬だった。

お兄ちゃんの後輩だという彼は、中学1年生のその頃からひょろりと背が高く、赤い髪の毛をしていて、普通の中学生には見えなかった。

「せんぱいの妹?」

それが、尚クンの声を聞いた、いちばんはじめだった。

少しかすれたような声。低音。涼やかな切れ長の目で真っ直ぐに見つめられて、あたしはすぐに言葉を見つけることができなかった。

「なまえ、なんていうの?」

尚クンは、かがんであたしの目の高さをそろえる。

あたしは、すっぱいレモンを間違って噛んだような、きゅんとした頬のくぼみを感じた。もちろん、本当にくぼんだわけではなくて、すっぱいものはおなかの中いっぱいにひろがって、きゅんと鳴く。

「あいざわ、あやね」

「ふぅーん、あやねちゃん、か。俺はね、磯島尚人。中学1年。あやねちゃんは?」

「6年生」

ひとことひとことに頷く彼を見ているうちに、何だかぎゅっと締め付けられたように、苦しくなってきた。あたしはまだほんの小さな子供で、その気持ちがなんなのか全然判らず、ただ震えて尚クンを見ていた。尚クンは白い歯を見せて笑っていたのが、不意に驚いた顔になる。

「どうしたの?」

あたしも、吃驚した。あたし、泣いていた。

泣いていることに驚きすぎてぐすぐすしゃくりあげだしたあたしの頭を、尚クンはおそるおそるなでる。その手の大きさを肌で感じて、あたしの涙はますます止まらない。

それが尚クンとの出逢いだった。

。。。。。

「あんときは吃驚したよなぁ。あーや、泣き止まないんだもん」

未だに、尚クンはあの日のことを話すことがある。あたしの顔を見るたびに、思い出すのだろうか。

尚クンの背は、この2年でますます伸びた。あまり背の伸びていないあたしが彼の顔を見るためには、うんと見上げなくちゃならない。首が疲れるくらい見上げて、やっと視線を捕らえている。捕らえた尚クンの目が、こどものように笑っている。

「だって、吃驚したんだもん」

あたしは、いつもと同じ答えを言う。そうしたら尚クンもいつもと同じく、くくく、と噛み殺した笑い声をたてる。

「かーわいかったよなぁー」

そして、あのときのようにあたしの頭をくしゅくしゅっとなでる。だからあたしは、髪の毛を伸ばせない。ずっと短いおかっぱ頭のままだ。

今日は、学校帰りに偶然バッタリ逢った。尚クンは来年、高校受験だし、いろいろ忙しいし、めったに逢うことはない。学校内だって、学年が違うから、まず顔を合わせることなんかない。だから、こういう偶然が、本当に嬉しい。大切な時間。

本当言えば、尚クンは、あたしのお姉ちゃんのお店でバイトしているから、逢おうと思えばいつだって逢えるはず。だけどお姉ちゃん、絢音はまだこどもだから来ちゃダメって言うんだもん。

「尚クン、受験勉強してる?」

「いや、ぜーん然。でも大丈夫だよ」

尚クンは、呑気に空を見上げる。

あたしは2年間、ずっとこのひとだけを見つめてきた。でも、何にも気づかないのね。

尚クンは、この辺では人気のバンドのヴォーカル。女の子にきゃあきゃあ言われるのには慣れている。騒がれすぎて、視線に鈍感になっている。女の子なんてどうでもいいって思っているみたい。群がる女の子たちを邪険に扱って、煙たがっている。

―――めんどくせぇな、女って。

尚クンがそうつぶやくたび、あたしは少しドキドキした。こんなこと、あたしに言うなんて? だけど、あたしもその中のひとり?

少しうつむくと、尚クンはちらっとあたしを見て、笑う。

「あーやは特別だよ。だって、おまえ、女じゃないもん」

あたしは、ふくれる。そしたら、尚クンはいつものようにあたしの頭をくしゅっとなでる。

「嘘。ふくれるなよ。俺の大事な妹だもん、特別だよ」

……そう。

尚クンにとって、あたしは、妹。特別って言ってくれるし、大事にしてくれているけど、妹。それ以上でもそれ以下でもない。生意気なことを言っても嫌われることはない。むしろ、わがままな妹だって、かわいがってくれる。でも、あたしが欲しいのは……。

妹なだけマシじゃない。ともだちは、言った。磯島さんに、顔も名前も覚えられてないあたしより、いいじゃない。あーやのこと、羨ましい。あたしも、あんなふうに磯島さんとお話ししてみたい。

でも、と思う。みんなには、可能性がある。いつか、偶然出逢って、尚クンの目に留まって、そして恋人になっていく、可能性。あたしは、ただの妹。確かに、優しくされている。誰より親しく見えているかもしれない。でも、いつまでたっても、妹は妹。恋人にはなれない。

あたしは尚クンの妹でいたいわけじゃない。例えば今、尚クンと手をつなごうと思えば、きっと簡単にできる。でも、尚クンは絶対にはにかんでみせたりしない。頬を赤く染めることもないし、まして情熱的に握り返すことなんてありえない。甘えん坊の妹だなって、少し困ったような誇らしいような笑顔でいるだけだろう。

「どうかした?」

急に尚クンが顔を覗き込んできたから、我にかえる。

「う、ううん」

慌てて首を振るあたしの頬は、鈍感な尚クンが見ても赤かったらしい。怪訝な顔で、あたしの頬に触れる。どうしよう、あたしはますます赤くなる。

きゃっ。

吃驚して、目を見開いてしまって、慌てて閉じる。だって、尚クンったら。あたしのおでこに自分のおでこ、くっつけるんだもん。心臓、爆発しそう。涙浮かんできちゃう。尚クン……。もし、急に抱きついたらどうする? 好き、そうつぶやいたら? 

尚クンに、心臓の音、聞かれちゃいそう。体じゅう、燃えちゃいそう。

「熱はなさそうだけど。なんか、震えてる? 大丈夫か?」

ばかみたいに、鈍感な人。本気で、心配している。

「うん、大丈夫」

「そう? じゃ、さ、家まで送ってく」

本当? そう思った瞬間。ひょいっと背中におぶられた。

ちょっと、尚クン。じたばたしたら、暴れたら危ないぞって笑ってた。あたしの足を押さえる手が温かくて、泣きたくなる。だから、尚クンの肩におでこをつけて、顔を隠す。

ねぇ、知らないでしょ? あたしがこんなに、あなたのこと好きだ、なんて。でもね、尚クンは気づかなくっていい。そのままの尚クンでいて。鈍感で無邪気で呑気な、今のままの尚クン。あたしは、この背中の広さ、男のひとの匂い、全部覚えておく。

「軽いもんだな、女の子って。あーや、背、どれくらい?」

「150センチちょっと」

「へぇ。なな子と同じくらい、かぁ」

……今の……って?

少し照れを含んだ、甘い声。

初めて聞くなまえ。尚クン、女の子の名前、呼び捨てにしていたことなんか、今まで1回もなかった。尚クンの仲良くしてるひとの名前は、全部知っているはず。呼び方も、全部。それに、こんな声で誰かの名前呼んでいるのなんか、聞いたことないよ。ねぇ、そのひとって。なな、子、さん、って。

「尚クンの、……かの、女?」

何気なさを装って、声を震えないようにするのが精一杯だった。尚クンは照れ隠しに、あたしのことをおぶりなおす。

「ううん。でも、だったらいいな。俺、女の子好きになったの、初めてだから。どうしたらいいのかわかんないや。おまえは? 好きなやついる? まだか、こどもだもんな」

どうして? どうして、今、そんなこと訊くの? どうして、初めて女の子を好きになる前に訊いてくれなかったの? 今のあたしに、何を答えろって言うの?

叫びたい気持ちを必死でこらえる。唇を噛み締める。

「好きなひとくらい、いるもん」

あたしの答えに、呑気に尚クンは驚く。

「えー、どんなやつ? どうして俺に教えてくれなかったんだよ。ま、いいか。どんなやつだよ。俺よりカッコイイ?」

無邪気な尚クン。完璧にお兄さんのつもりなんだね。これっぽっちも「自分かも」なんて思っていない。もし、あたしが好きなひとを教えたら、このひといったい、どうするんだろう? 冗談だと思って笑い出すんだろうか。それとも、うろたえるんだろうか。見てみたい気もする。だけど。

言えないよ、やっぱり。

「当たり前じゃない」

強がりなあたしの口は、言葉を紡ぎだす。

「絢音が好きになる男の子だもん、尚クンよりずっとずっと優しくてカッコイイに決まってるよ」

「いるかぁ、そんなやつ」

尚クンは嬉しそうに、背中の上のあたしを揺らす。尚クンの恋は、尚クンを陽気にしている。あたしの恋は、ただこうやって腐っていくだけなのに。あたしは無邪気な妹を装って、尚クンの首にぎゅっとしがみつく。もう、離したくない。ねぇ、尚クン。こんなに、こんなに、好きなのに。

尚クンは、無邪気に甘える妹に気をよくして、明るい笑い声をたてる。仕方ないなぁあーやは。照れ隠しなんか、言う。あたしが心の奥底で、あなたが好きだと慟哭しているなんて、小指の先ほども思っていない。こんなにぴったりくっついていても、なんだかすごく遠い。それでも、あたし、尚クンが好き。

「到着」

ハスキーな声が、この時間の終わりを告げる。いやだ、側にいてよ。駄々っ子のようにおねだりすることもできたはずだ。でも、できない。尚クンを困らせたり、できない。あたしは、素直に彼の背中から下りる。尚クンはあたしに、お兄ちゃんの笑顔を見せる。

「今度、聞かせてよ。おまえの好きなやつの話」

頷いて、さよならをして、ドアの中に入った瞬間。

あたしはもう、無邪気な妹じゃなかった。

。。。。。

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