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2006年11月 1日 (水)

NO WOMAN NO CRY 13

夏川カナコと逢った。

いつもの河川敷、いつものサイクリングロード。あれから1週間たったけれど、俺は自己嫌悪の塊だった。

彼女は、白いトレーニングウェアを着て、黙々と走っていた。汗が一筋流れて、それすらも涼しそうだった。

俺も走ればいいだろうか。全部流れていくだろうか。この重たい気持ち、どす黒い自己嫌悪、汗と一緒に全部流れてしまわないだろうか。今、夏川カナコが見せているような、すっきりとした涼しい表情を浮かべられるんじゃないだろうか。

どうして夏川カナコは走るんだろう。ふと思った。

何があるのだろう。昔、陸上部にでもいたのだろうか。それとも、シェイプアップにでも励んでいるのだろうか。何が彼女を走らせているのだろう。

俺は、今ほど彼女に親近感をおぼえたことはなかった。何となく、彼女も何か忘れたいことがあって、汗と一緒に流そうとしているように、思えた。どうしてって、普通の人が走るよりずっと速く走るから。何かを振り切りたいように見える。

ああ、俺も走りたい。

そう思った瞬間、俺の足は走り出していた。どこに向かってでもない。自分の心を振り切るために、走る、走る。息が苦しくなって、目の前がフラフラとふらつくまで。こんなんじゃ足りない。もっとだ。もっともっと、肉体が苦しくなって、精神を忘れてしまうくらい、もっと速く。

俺は走る。走って、走って、草むらに倒れた。全部が苦しいのに、草の匂いだけが優しい。こんな匂い、最後に感じたのはいつだったろう。冷たくて、気持ちいい。

いつの間に追い抜いていたのだろう、夏川カナコが、俺の横を通り過ぎた。通り過ぎる瞬間、俺を見て、少し微笑んだ。

馬鹿にした笑いじゃなかった。

そう、彼女は微笑んだんだ。きっと、同じ気持ちを持ったものとして。



それからの俺は、ひたすら走った。太陽が西に傾いていく頃。どんなに暑い日も平気だった。何もしないでいるよりも。

思いっきり走ると、景色が風になった気がする。いろいろなことが流れていく。

夏川カナコに逢う。あくまでも、他人だ。声をかけたり会釈したり、視線を合わせることさえ全然ない。でも、誰よりも近いものを持っている気がする。俺の気のせいかもしれない。

ただ、走る。

普通のジョギングよりも、もっと速いスピードで。

全部、飛んでいってしまえばいい。俺の汚さや、忘れてしまいたい過去や、何もかも。ああ、忘れたいことが多すぎる。記憶の消しゴムがあって、全部消せたらいいのに。そう言ったのは、桃瀬だったか。

今ほど、その言葉を強く願ったことはない。全部消せたらいいのに。でも、消すわけにはいかない、覚えておかなくては。本当に消したいのは、きっと愛穂のほうだ。

留守番電話に入っていた「ごめんなさい」。

謝られたって困る。俺が悪い。俺は「いい目を見た」だけだ。

あいつは今、どんな思いでいるのだろうか。

ごめんなさいを聞いた後、壊してしまった携帯電話。もう、あの子の声を聞くこともない。電話にくらい、出ればよかった。俺のほうこそ悪かったと、謝るべきだった。わざわざ、電話をくれたというのに。俺の弱さ、格好悪さ。

愛穂が傷ついているのなら、当然責任を取らなくてはならないだろう。だけど、今はまだ、逢いたくない。

俺は走る。ひたすら走る。

この世の中には忘れたいことが多すぎる。

。。。。。

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