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2006年11月 2日 (木)

NO WOMAN NO CRY 10

夏川カナコは、よくこの河川敷をジョギングしていた。ここ2、3日連続して見かけている。

彼女はいつもひとりで、たんたんと走っている。汗が光って、凛としたものを感じる。俺はいつも彼女を避けるように、すれ違う前に道を逸れてしまう。そして、彼女が走っているのを見ている。

彼女、尚人と、どうなんだろう。

あの日のふたり。慎ましいだけの距離を保って並んで座っていた、あの日。夏川カナコの笑顔を、初めて見た。あの日のふたりは、できたての恋人のようだった。今も、ふたりは逢っているんだろうか。

関係のないこと。でも、なぜか気になる。

夏川カナコ。

俺はどうして、こんなに彼女のことが気になるのだろう。白いトレーニングウェア、桃瀬に似ていると愛穂が言っていた目元。

思えば、初めて見たときのインパクトが強かった。ライブの途中で出て行ったところ。いきなり尚人が追いかけて、捕まえたところ。それだけだろうか。

わざわざ、逢いたくて。毎日のようにこの河川敷を通ってしまう俺は。

いったい、何を、どうしたいんだろう。



愛穂から電話が来た。声が泣いていた。

先輩、あした、逢ってください。

そう言った。

。。。。。

タクが部屋にやってきた。長く一緒にバンドを組んできたけど、突然来たのは初めてだ。何だろう。そう思いながら、いつも散らかったままの部屋に招き入れる。

「珍しいな」

「悪い」

「いや、いいよ。汚くてごめんな。いつも一緒か。どうせ、来るのは尚人とかおまえらくらいだからさ」

俺の軽い口調にも、タクは硬い表情のままだった。

「何か、あったのか」

タクは静かに首を振る。

伏せた目元にできた影が、一瞬涙のように見えて、どきっとした。あんまり、感情を表に出さないタクが。

「ノリ、最近、一美と逢ったか」

ぽつんと口に出した。

俺は、あのときの桃瀬とのキスを思い出して、少し動揺する。

「逢ったよ」

なるべく軽く言う。

「どうだった、一美」

「まあ、元気だったよ」

「何か、言ってたか」

「いや、俺ら、普通の話しかしないし。愚痴とか、そういうの、言うようなやつじゃないだろ、桃瀬は」

タクはふうっとため息を漏らす。

顔には出さないけど、タクだって苦しいはずだ。桃瀬と同じように。

だけど、桃瀬が泣いたことは言いたくない。桃瀬も、タクには知られたくないだろう。黙っている、それが友達に対してできる俺の精一杯の優しさだ。

桃瀬のことを、タクに言わない。

タクのことも、桃瀬に言わない。

ただ、静かに、話だけは聞いている。

「……そうだな、あいつらしいよ」

いつも、そうやって毅然としているのが、桃瀬だ。だけど、彼女は本当にタクのことは何も言っていない。別れた、とさえ聞いていない。泣いていただけだ。

「訊いてもいいのか」

タクは笑う。

「だいたい予想つくだろ。そのとおりだよ。一美が言わなかったのなら、俺も言わないほうがいいんじゃないかな」

「まあな」

きっと、ふたりはこうやって静かに恋を終わらせたのだろう。

ふたりらしい。

長い付き合いだったよな、ふたり。いつも優しく思いやっていて、信じあっていて、羨ましいくらい似合っていた、カップルだった。

俺たちは、しばらく、黙って座っていた。

。。。。。

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