妄想乙女の人魚姫
人魚の王の6人の娘たちの内、末の姫は15歳の誕生日に昇っていった海の上で、船の上にいる美しい人間の王子を目にする…(wikipediaより転載)案の定、ぺぺです。
「あたし、人魚のぺぺ。永遠の15歳、きゃぴっ☆ 今度の15歳のお誕生日が来たら、海の上に上がっていけるの。人間の世界って、どんなふうなのでしょう?」
※恐ろしいことに、妄想チャンネルに切り替わっちゃってます
「おいおい。これはいったい、何が始まったんだ?」
「あぁん、王子様っ。まだ出番は先なのに、ぺぺに逢いたくて、出てきちゃったデスか?」
「違げぇよ! オマエが暴走する前に、どうにかしたいだけだ」
「暴走なんて。ラブしかないデスよぅ」
「暴走しかねーだろ」
「もぉー。話が進みません。ぺぺが人魚から超絶美少女に生まれ変わる奇跡の瞬間がもうすぐなのに」
「オマエ、今でもヒト型ジュゴンみたいなもんじゃねぇか。ビーバー顔のな」
「えーっと。人魚姫…どんなでしたっけ? 確か…王子様の大好きな『嵐』のコンサート会場、熱狂しているところでもみくちゃになっている王子様をぺぺが助け出すことからお話が始まるんでしたよね?」
「どう考えても違う」
「そうでしたっけ? ま、なんか知らんけど、王子様を助けてフォーリンラブ」
「片思い」
「え? 王子様の?」
「逆だ!」
「そうそう。鈍感な王子様は、ぺぺという運命の乙女が助けたのに、人間の小娘が助けたと勘違いするのでした。ソイツはミニ○カポリスか? はたまたその次のオンナか? それとも…」
「おい」
「海に戻ったぺぺは、地上の王子様を恋しく想うのでした…また東京に行きたい、ライブが見たい…思いつめるあまり、ぺぺは魔女のもとに向かってしまうのです。えーっと。魔女役は相方サマで」
「なんだよ、この寸劇は」
「…相方サマ、出てきてくれないデスねぇ」
「オマエのなかでキャラが定まってねーからだろ…ってことは、俺、どSキャラ!?」
「ま、いいや。ぺぺは魔女さんのおうちに行って、人間になりたいと懇願するのデス。そして、この美しい声と引き換えに、すらりとした長い脚を手に入れたのです」
「そうか、声が残念だったから、そんな太い脚を手に入れたんだな…」
「しかも、この脚。一歩歩くごとに、ナイフで抉られるような痛みが走るのデス!」
「太すぎて膝が痛むとか?」
「だけど、ぺぺは念願かなって、王子様と甘い同棲生活を送れるようになりました☆」
「お城に住まわせてやっただけだろ」
「王子様に愛の言葉を語らいたくても、ぺぺは声を失っています…無念」
「静かでよかった」
「そのかわり、王子様から愛の言葉、プリーズ」
「言わねーよ! そうじゃなくて、人魚姫が王子を助けたことを話せなくて困ってるんだろ」
「でも、以心伝心で伝わっちゃうんだなぁ。ラブパワー、無敵!」
「…全然人魚姫じゃねぇよ」
「そこへ。王子様のもとに、どっかの国からの縁談が舞い込んできます。政略的なモンでしょうな。ぺぺは、王子様とケッコンできなくば、なんと! 海の泡となって消えてしまうのデス!!」
「さっさと消えてくれ」
「ぺぺをラブな王子様は、そんな縁談、当然ソッコー断ります。『僕には運命の乙女がいるんだ!』するとどうでしょう。失ったはずのぺぺの声が、蘇りました。『王子様!』『ぺぺ、ああ、なんと美しい声だ』。ひしっと抱き合うふたり。政略的ケッコンを持ちかけた輩も、魔女も、海の泡も、みんなその美しい姿に涙します。なんてお似合いなんだ! 世界中に祝福されて、今に至る、めでたしめでたし」
「そんな話、知るか!?」
どがっっ!!
悲恋だったはずが…まぁ、悲惨な最後ではありましたね。いつもの、といえなくもないですけど。
うーん、名作シリーズ、なかなかハッピーエンドの話を扱っていないので、今度はめっちゃはっぴーな話にしようと思いまーす☆
し、白雪姫とかっ…王子様と禁断のちゅー…
…
…
むきゃーっっ!!
王子様ってば、ぺぺが眠っているのをいいことに、そんなこと、いけませんわっ。
「うるせぇ!!」
どがっっ!!
白雪姫は、とんだ悲劇でござんした。
おやすみなさい。よい夢を。
最近のコメント