映画ノヨウナ恋シタイ

こんなに晴れた日には、自転車ふたり乗りしよう。

並木が続く遊歩道を、ゆらゆら揺れながらゆっくりゆっくり走ろう。

夏になったら、海へ行こう。

手作りのお弁当を膝に乗せて、かたかた揺られながら電車で行こう。

夜になったら、花火を見よう。

浴衣着て口をあんぐり開けて、ぼんやりふたりで見上げていよう。

秋になったら、枯葉のじゅうたんの上、

冬になったら、粉雪をきゅっと踏みしめて、

春になったら、淡いピンクの桜が舞う中で、

いつもふたりは、手をつないで歩こう。

いつも笑顔で、手をつないで歩こう。

平凡だけど、幸せでいよう。

平凡だけど幸せだねって、笑いたいの。

20cm

最近、ぺぺは、会社でとある段にのぼりたがります。

その段の高さ、約20cm。

王子様と、ぺぺの身長の差。

約20cm。

王子様の見ている世界って、こんなふうなんだぁ。

へぇ～…。

全然、違うもの、なんですね。

いとしいきもち

きっと、の話だけれど。

王子様の近くにいて、

王子様が背中を少し丸めて

一生懸命ゲームしてるとことか見たら、

胸がきゅっとして、

愛しい気持ちでいっぱいになるんだろうなぁ

って、思う。

で、そのまんま1年くらい経っても、

相変わらず王子様はゲームばっかりしてて、

なんだかつまんないやって

あなしは王子様の背中にムカついて、

思いっきり蹴ってやろうと思うんだけど、

でもスキだなぁって思って、

こんなこと言いたくないけど、スキだなぁって

愛しい気持ちでいっぱいになるの。

すっごい悔しいなぁ。

でも、同じだけの愛しい気持ちを、

もしもあなたが持っているのだとすれば

それでもいいのかな。

うん、それでも、いいや。

背中に急に抱きついたりするよ。

手元が狂っても、知らないよ。

コイゴコロ

気付いたときには

もう痛いんだ。

甘いものを食べたから虫歯になったの？

しくしくと疼いてる

恋心。

もしも。

もしもあなたと知り合うことができたら、

ゆっくりゆっくり時間をかけて、あなたを知っていきたい。

こんなにこんなに好きだから、

いっぺんに知ってしまうのは、もったいないの。

あなたがいれば

あなたがいれば

ほかには何にもいらないと思えるほどの

激しい恋を

してみたいものだと思うけれど、

そんなに激しくなくていい

一緒にのんびり齢をとって

いつかおじいちゃんとおばあちゃんになっても

ひだまりのなか

隣同士、にこにこと

お茶でも飲んで

おいしいねぇ

って言い合えるような

おだやかさがいい

だけど、

もしもあなたが転びそうになったら

自分の腕が折れてもかまわないから

とっさに支えてあげるくらいの

激しさは、

持っていたいなぁ

御伽話

たとえば

王子様とどこかで偶然出逢って、

ふたり、運命的に恋に落ちたとして、

そのあとはどうなってゆくのでしょう。

恋は、

始まるまでが楽しいなぁ。

始まった瞬間から、終わりへのカウントダウンが始まる。

幸せと一緒に悲しみがやってくる。

笑ってばかりじゃいられない。

不安だらけ。

どんなに近くにいても、

決してひとつにはなれない。

わかっていても

始めてみたいと願ってしまう。

あなたはあたしの、王子様。

あたしを、さらって？

物語は、そこから始まる。

ぱたぱた

あなたの姿を見るたび

あなたの声を聴くたび

あなたの笑顔に触れるたび

心臓がぱたぱたするの。

大好き大好き大好き

しっぽぱたぱたふりまくって、

鼻をくんくん鳴らして

思いっきり抱きついて

あなたの頬に頬をくっつけて

甘えてみたりしたい。

大好き、大好き、大好き。

8月、ひと雨ごとに秋が来る。

あの日から雨が好きになったけれど、

ひと雨ごとに強まる秋の気配には

寂しさを感じるのです。

世界で一番素敵だった夏も

もう、後ろ姿。

そろそろ、歩き始めなくちゃ。